『AIを編集する』ではなく『AIをチューニングする』── idea+ の用語ルール
ぼくらは社内で『AIを編集する』という言い方を禁じています。代わりに使うのは『AIをチューニングする』。たった一語の違いに、責任のありかと不可侵原則が宿るからです。
要点3行サマリー
- idea+ では「AIを編集する」という言い方を社内で禁止しています。
- 代わりに使うのは「AIをチューニングする」。たった一語の違いです。
- でも、この一語に責任のありかと不可侵原則が宿ります。
「編集」と「チューニング」の違い
辞書を引いてもこの2つは近い意味になる。 でも、現場での重みは違います。
「編集する」と言うと、ぼくらは無意識に「文章を自由に直す」ニュアンスを連想します。 誤字を直すように、AIの出力を切り貼りするイメージ。
「チューニングする」と言うと、楽器のチューナーや、機械の調律師を思い浮かべます。 ある正しい音や状態に寄せるイメージ。 そして、限界がある。チューニングできないノブには触らない、という前提が含まれます。
なぜこの差にこだわるのか
ぼくらが嫌うのは、「AIに何を任せて、何を任せないか」の境目が曖昧になることです。
「編集」と言ってしまうと、ぼくらは全部の出力を自由に書き換える権利があると錯覚しがちです。 そして実際、書き換えてしまう。 そうすると AI を入れた意味が薄れる。
「チューニング」と言うと、自分はノブを回す側、AI は鳴っている楽器、という役割分担が言語に内蔵されます。 全部のノブを回せるわけじゃない。 回せるノブだけ、目的に向けて調整する。 回しちゃいけないノブには触らない。 それが不可侵原則の入り口です。
idea+ 視点:日本のAIディレクターはどう動くか
社内の用語ルールは、現場の判断速度を左右します。 言葉が共有されていれば、議論はその先から始められる。
第一に、自社の「AIまわりの動詞」を3つだけ決める。 ぼくらの場合は「チューニングする」「監督する」「引き渡す」の3つです。 これだけ決めればミーティングの粒度が揃います。
第二に、禁じ手の動詞も明文化する。 ぼくらは「編集する」「任せきる」「丸投げする」を禁じています。 禁じることで、その動詞が指していた「曖昧な責任」が浮かび上がります。
第三に、用語ルールを採用面接の質問にする。 「あなたが AI に対して使う動詞を3つ選んでください」。 返ってくる答えに、その人の AI 観が出ます。
第四に、用語ルールはサイトのフッタに書いておく。 「ぼくらは AI を チューニングする と呼びます」と書いてあるサイトは、それだけで姿勢が伝わります。
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出典
- idea+ 社内用語ルール(ver.3)
- idea+ AIO Pro 運用ガイド
動詞を変えると、現場が変わります。 言葉が緩いと、責任も緩みます。
日本AIディレクション協会 代表理事。「AIに使われる社会ではなく、AIを編集できる社会へ」を掲げ、AIディレクションを業界標準の職能にする活動を主導。idea+ では4OS × 8スキルの設計思想と、AI CxO 合議レイヤーの運用を率いる。
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